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『ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前』
ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)
塩野 七生

ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)
ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中) (新潮文庫) ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫) ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫) ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫) ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫)
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カエサル誕生(BC100)からルビコンをわたる(BC49)まで。

文庫版は全43巻あるが、そのうち第8巻から第11巻までの6巻がカエサル。
一人の人物を追って6巻。
もちろん周囲の人物もあわせて描かれるわけだが、それでも6巻も。

前半は生まれてから、ガリア遠征を終えてルビコンをわたるまでの3巻。
後半はルビコンをわたって、ポンペイウスとの対決、ローマの体制の改革と、カエサルの後継者であるオクタヴィアヌスがアントニウスとクレオパトラを破るまでの3巻。


カエサルはマリウスの縁戚だったこともあり、スラによる粛清の対象だったが、逃亡して生き延びた。
カエサルの幼年期のところでこのような記述がある。
「・・・母の愛情を満身に浴びて育つ。生涯を通じて彼を特徴づけたことの一つは、絶望的な状態になっても機嫌の良さを失わなかった点であった。楽天的でいられたのも、ゆるぎない自信があったからだ。そして、男にとって最初に自負心をもたせてくれるのは、母親が彼にそそぐ愛情である。幼児に母の愛情に恵まれて育てば、人は自然に、自信に裏打ちされたバランス感覚も会得する。そして、過去に捕われずに未来に眼を向ける積極性も、知らず知らずのうちに身につけてくる。」
(文庫版8巻40ページ)
確かにガリア遠征の時もポンペイウスとの対決の時も、危機一髪だったり、戦力的に厳しそうだったのに、カエサルはよく切り抜けられたなと思うことがしばしば。

カエサルの成長について述べる過程で、ローマの貴族の家庭がどのようなものだったか、ローマの住宅状況がどのようなものだったかなどもあわせて触れられていて興味深い。

スラの死後、ローマ本国が落ち着いて帰国し、公職に就くころまでにはポンペイウスは遥か彼方、絶対的な権力を持つに至っていた。
後に、カエサル、ポンペイウスと並び三頭政治の一頭となるクラッススも経済界の大物として存在している。
しかし、彼らに遅れたにせよ、キャリアを積み重ねていき、執政官(コンスル)へ立候補する。
このとき、コンスルの当選を確実にしたいカエサル、オリエントの地盤を固めたいポンペイウス、当時のカエサルとポンペイウスではつり合いが取れないといった事情も含め誘われた経済界の重鎮としてのクラッススの3人の密約による三頭政治がひそかに成立。
カエサルはコンスルに当選し、他の2者への便宜をはかる。

コンスルとなったカエサルは国政の改革を進めるとともに、ローマの防衛線を確立するためにガリア(主として現在のフランス)遠征を開始する。

カエサルの国政改革は、国土が広くなり、任期1年のコンスルおよび元老院による統治では対応しきれなくなったことへの対応が主目的であり、のちに自ら終身独裁官に就任している。
イタリア半島だけであればまだしも、ポエニ戦争を経て、地中海の覇権国となり、ギリシアから小アジアに至るまで勢力を広げたため、遠征に行っても1年では結果を出せるわけもなく、元老院での意思決定のスピード感では遠隔地の事象に対応もできない。
もう一つは農地改革であり、これはグラックス兄弟以来の懸案事項。
国有地の適正な再配分を目指すものであるが、既得権益を持つ者から忌み嫌われ、流血沙汰を起こす事項。
これを弁論と、三頭による力で実施させた。

元老院の力を削ぐために、公職にある者は一定額(1万セステルティウス)以上の贈物を受けてはならないと定めた。
一切受け取ってはならないとしたわけではないことについて、塩野先生いわく、少額といえどもあらゆる贈物は受けてはならない、では、人間の本性に無知であることの証明でしかないではないか、と。


ローマの防衛線としては、カエサルは、北はライン川、東はユーフラテス川を考えていた。
東はポンペイウスの地盤であり、イタリア半島からは遠く差し迫った危機もないことともあり、カエサルはガリア総督として北を目指す。
ガリアにはガリア人が、ライン川の向こうにはゲルマン人がいる。
イタリアとガリアの間はアルプスしかない。
ゲルマン人は、西へ南へと迫り、押し出されたガリアが人イタリアに侵入するのである。
ガリアのゲルマン化を防ぎ、ローマ化することで、ライン防衛線を確立しようというのがカエサルの意図したことだった。

ドーヴァー海峡をわたって、現イギリスも訪れている。
後にチャーチルが、イギリスはカエサル遠征に始まったが、ドイツは未開の地であったと言う論拠がここにある。

ガリアに行って複数のガリア民族とゲルマン民族と戦っている間、ローマ本国での政治もおろそかにできないわけだが、手足となる人材を探しこれもやってのける。
一方で緊急時にはどこへでも真っ先に駆けつけて処理することもした。

三頭政治の一角であるクラッススは、軍事的功績がないことを気にしており、ローマの東にあるパルティア王国へと遠征する。
クラッススの子はカエサルのもとで優秀な指揮官へと成長していたが、彼を呼び寄せもしていた。
しかし、指揮官たるクラッススが軍事慣れしていないことに加え、パルティアの指揮官がスレナスという極めて有能な人物に率いられたこともあって、ローマ軍は完敗。
これがカルラエの戦いである。
クラッスス親子は戦死し、三頭の一角が崩れたことになる。
ローマは残る二頭、と言っても、カエサル対元老院・ポンペイウスとう構図だが、これがためにパルティア問題はしばし放置することとなる。

カエサルは、8年でガリア遠征を終わらせ、「ガリア戦記」を刊行し、イタリアに帰国する。
本国には軍を率いていてはいけないという決まりがあるが、元老院から敵視されているカエサルにとって軍を率いず丸腰での入国は危険極まりないことであった。
元老院はポンペイウスを担いで対決姿勢を強めていく。

カエサルはマリウスとスラの内戦を体験している。
自身、粛清されそうになり逃亡生活を余儀なくされている。
法に従わず軍を率いて入国すれば内戦は避けられないことも認識している。
そこに大いなる逡巡があった。
悩んだ男の決断であった。

---ここを越えれば、人間世界の悲惨。越えなければ、わが破滅。
進もう、神々の待つところへ、われわれを侮辱した敵の待つところへ、賽は投げられた---

次巻。



メモ。

イタリアの普通高校で使われている、歴史の教科書
「指導者に求められる資質は、次の五つである。
 知性。説得力。肉体上の耐久力。自己制御の能力。持続する意思。
 カエサルだけが、このすべてを持っていた」
(文庫版8巻冒頭)

ユリウス・カエサル
「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」
(文庫版8巻冒頭)

ギリシアとローマの違いについて
アテネもスパルタも階級闘争があった場合、勝者が敗者を従属させることしかなかった。
ローマは、争っても結局は共存共栄に向かう。これが、ローマ人に帝国創立とその長期の維持を許した要因ではないか。
(文庫版8巻51ページ要約)

戦争は、死ぬためにやるのではなく、生きるためにやるのである。戦争が死ぬためにやるものに変わりはじめると、醒めた理性も居場所を失ってくるから、すべてが狂ってくる。生きるためにやるものだと思っている間は、組織の健全性も維持される。その最もはっきりした形が、一兵卒にもわかるようにはっきりした形が、食糧の確保だった。カエサルは、その重要性を生涯忘れていない。
(文庫版9巻91ページ)

われわれシビリアンは、軍人たちが隊列を組む訓練や規則正しい行進に執着するのを笑いの種にすることが多いが、これはもの笑いにするほうがまちがっているのである。隊列が乱れていては、行軍でも布陣でも指令が行きとどかない怖れがある。可能なかぎり少ない犠牲で可能なかぎり大きな成果を得ることを考えて、軍隊は厚生され機能されねばならない。そのためにはまず、指揮系統が明解である必要がある。そして、確立した指揮系統から伝達される指令は、中隊、大隊、軍団がそれぞれ秩序正しくまとまっていてこそ、すみずみにまで十分に伝わるのだ。
(文庫版10巻108ページ)
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